糖尿病と食事、食後高血糖、グリセミック指数(GI)対策について。糖尿病外来専門の山王内科クリニック。

糖尿病と食事療法

どのくらい食べていい?〜エネルギー摂取量の計算方法

 まず、あなたの身長(m)×身長(m)×22=標準体重(kg)を計算します。次に体を動かす程度によって(下記参照)身体活動量を決定します。この標準体重×身体活動量で、あなたが1日に必要とする適切なエネルギー摂取量が分かります。
 エネルギー摂取量を守るとともに、炭水化物、蛋白質、脂質、ビタミン、ミネラル等、バランスの良い食事に心がけましょう。まったくカロリー計算ができなければ、まずは規則正しい食生活を心がけ、食事量を1/3減らして、脂肪分を控えてみましょう。

体を動かす程度 身体活動量
軽労作(デスクワーク、主婦など) 25~30 kcal/kg
普通の労作(立ち仕事が多い職業) 30~35 kcal/kg
重い労作(力仕事の多い職業) 35~   kcal/kg

(例)身長160cm 体重65kgの主婦の標準体重は1.6×1.6×22=56.32kg。身体活動量を30とすると56.32×30=1689.6 kcal。やや肥満ですので、1600kcalの食事療法を行います。

1600kcalの食事例

 1600kcalの食事例です。ただし、食材の組み合わせによりカロリーは変わります。

朝食例 532kcal
  • 野菜炒め 158kcal(野菜100gg油1.5g)
  • 鶏卵小1個 80kcal(50g)
  • ご飯 220kcal(男茶碗1杯150g)
  • みそ汁 74kcal(野菜50g、みそ小2 12g)
昼食例 572kcal
  • ビーフステーキ 160kcal(牛ロース50g、野菜100g、油1.5g)
  • ご飯 220kcal(男茶碗1杯150g)
  • 果物 80kcal(メロン中1/2個200g)
  • 牛乳 112kcal(200cc)
夕食例 550kcal
  • 湯豆腐 120kcal(絹豆腐小1丁200g)
  • 刺身 80kcal(まぐろ赤身74g)
  • おひたし 50kcal(ほうれん草50g)
  • ご飯 220kcal(男茶碗1杯150g)
  • 果物 80kcal(りんご小1個150g)

こんな量でも高カロリー
 ピーナッツ約24粒→160kcal、マヨネーズ30g(大さじ軽く2杯)→160kcal。果物は果糖で太りやすい糖です。ビタミンだけではありません。「自分の食事、間違ってない?」もご参考に。

部位、調理法、うす味を心がけて

ダイエット

 ダイエット・・・1度は試みたことがあるでしょう。バナナ、リンゴ、1日1食、1日8時間ダイエットやダイエットサプリ等々、継続されている人はいるのでしょうか? 結局は、総カロリーを減らすことで一時的にダイエットできたかもしれませんが、継続できないと意味がありません。

 低脂肪食、地中海食、低炭水化物食を2年間追跡した論文では、地中海食と低炭水化物食が、低脂肪食よりも減量効果が認められています。試す価値はあるようです(低炭水化物ダイエットは6か月までに有意な体重減少をもたらしますが、1年で他のダイエットと差がなくなるようです)。
 しかし、極端な低炭水化物食はお勧めできません。栄養バランスの乱れから他の病気を併発する危険性があるからです。

ダイエットには、そばや玄米がいい?

 そばとうどん、玄米と白米、フランスパンとライ麦パン。カロリーはほぼ同じなのです(ミネラルは別として)。GI値が違うので単独では血糖の上昇は緩やかになります。しかし食べたものは、ほぼ100%吸収されます(腸の病気や激しい下痢症など、消化吸収に関係する病気の人以外)。よって、そばや玄米も食べ過ぎればダイエットはできません。血糖の上昇は、その日の胃腸の動き、消化機能、食べる時間、食べる順番によっても異なります。
摂取カロリーを減らし、食べ方を工夫して吸収のスピードを緩やかにすることは、血糖上昇や膵臓の負担を取ることになります。 

 食べながら痩せるダイエットはありません。糖尿病食の基本は、毎日継続できるものでなければ意味がありません。

食後高血糖を改善するには、グリセミック指数(GI)で対策

 食前の血糖値が正常であって、食後1時間から2時間後の血糖値が高いと、心筋梗塞や脳梗塞等、動脈硬化性の疾患の発症が増えることが分かってきました。食後高血糖の改善で効果的なのは、食事と運動です。食事では少し工夫することで、血糖値が上がるのを抑えやすくなります。

 食後の血糖上昇の主な原因は炭水化物です。カロリーが少ないからといって、お茶漬けだけ、うどんだけなどでは食後に高血糖が生じます。
 食事の初めは、野菜など消化吸収の遅い食品を選んでよく噛んで食べ、食品は食物繊維の多いものを選ぶ、グリセミック指数(GI)の低い食品を選ぶといった工夫が役立ちます。

 グリセミック指数(GI=Glycemic Index)とは、ブドウ糖を摂取した後の血糖上昇率を100として、それを基準に、同量摂取したときの食品ごとの血糖上昇率をパーセントで表した数値です。日本語で「食後血糖上昇指数」と訳されることもあります。GI値が高いほど食後の血糖値は上がりやすく、GI値が低いほど血糖値は上がりにくくなります。つまり、同じカロリーでも血糖の上昇カーブが異なるということです。

 GIは、食品の食物繊維の含有比率、調理や加工方法、組合せ、咀嚼回数などで変わります。例えば、白米の方がパスタより急激に血糖上昇します。ですので白米だけを食べるのではなく、野菜やきのこなどと同時に食べて急激な上昇をしないようにすることです。血糖の上昇スピードは、ぶどう糖>ハチミツ>白米>パスタ>アイスクリームなどです。
 また、ごはんやパンは精白されたものよりも、全粒穀物が入っていた方が、GI値が低くなり吸収が遅くなります。全粒穀物とは、加工度の低い自然のままに近い穀物のことで、玄米、小麦、トウモロコシ、キビ、アワ、ヒエ、ソバなどがあり、食物繊維が豊富でビタミンやミネラルなどの栄養素も、精白されたものに比べ多く含まれます。

自分の食事、間違ってない?

 本当にカロリー制限が出来ていますか? もう一度考えてみましょう。

野菜サラダ 野菜はカロリー無いからいくら食べてもいいよね・・・
野菜300g、アボガド1/4個、フルーツトマト2個、トウモロコシ30g、ハム1枚にポテトサラダをトッピング、マヨネーズを丸く絞れば400kcal程度になります(特にマヨネーズやドレッシングは高カロリーです)。

野菜はカロリーが無い? 無いわけではありません。色々取り合わせると300gで80kcalです。しかしカロリーが高いものもあります。80kcal(1単位)は、炭水化物のじゃがいも110g、野菜の範疇のかぼちゃ90g、トウモロコシ90g、レンコン120gです。かぼちゃやトウモロコシの方がじゃがいもよりカロリーが高いのです。玉ねぎ(中サイズ80kcal程度)もカロリーが高い野菜です。

トマトはどうでしょう? 昔のトマトより今のトマトは甘くておいしいと感じます。ではカロリーは? 中サイズ200gのトマト1個は40kcal程度、トマトには多くの種類がありますが糖度3〜7%程度です。プチトマト7〜12%、フルーツトマト13~14%、フルーツトマトでは倍のカロリーになります。トマトに限らず最近は消費者に買ってもらうため、他の野菜も甘さが増しています。糖度と甘さは同じではありませんが、糖度が上がっていることがほとんどです。

油のバター10gは80kcal 油だから納得されるでしょうが、ピーナッツ12粒程度、マヨネーズ15g(大さじ軽く1杯)、アボガド1/4個も同じ80kcalです。

果物 ビタミン・ミネラルや食物繊維も含んでいますが、果糖とブドウ糖です。食べ過ぎは血糖や中性脂肪が上昇しますので注意しましょう。缶詰は糖度が高いので要注意です。

野菜ジュースにも青汁にもカロリーはあります(多いもので100kcalも) 水分摂取でポカリスエット500ml 1本で125kcalもあります。カロリーオフの飲料もカロリーゼロではありません。オフとゼロでは違いますし、人工甘味料が入っていますので取り過ぎに注意も必要です。

 このように、知らないうちにカロリーは摂取しているのです。

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